コエステの企業ロゴコエステの企業ロゴコエステの企業ロゴ

ブログ

DX時代で生産性がUP!?上手く活用してビジネスを展開させるには

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「DX(デジタルトランスフォーメーション、以下DX)」という言葉は今やあちらこちらで聞かれるようになり、特にビジネスの分野においては注釈や解説の必要のない一般的用語として浸透してきた感があります。しかし、具体的に説明ができたり、「IT化」との違いを明確に語れたりとなると、なかなか難しいと思われる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、DXとは何かの定義を確認するとともに、日本で意識を高めることになった経済産業省の動きを振り返ります。さらに、DXのメリットと企業の活用例をご紹介し、具体的にどのようなことに応用できるかを見ていきます。


 

DXとは?


DXの定義は日本でも業界や企業などによってまだ揺らぎがあるのが現状ですが、その中でも最も参照される定義のうちのひとつが、2018年に経済産業省が発表した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン Ver1.0」にあります。
 

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」


さらに短くすると、「企業がデジタル技術を活用して、ビジネスモデルに変革をおこし、組織として優位に立つこと」ということができます。最終的な目的はあくまで「組織として優位に立つこと」であり、IT・デジタル技術の活用はもとより、業務効率化やさらにビジネスモデルの変革についても、それらはあくまで手段であると捉えることができます。
 
経済産業省が2019年に行った企業の「自己診断結果」によると、それを提出した企業の中でも約95%の企業はDXに「DXにまったく取り組んでいない」か「散発的な実施に留まっている」状態にあることが分かりました。日本の現状としては、「組織として優位に立つこと」はおろか、ビジネスに変革を起こす道筋まで見えている企業は、少なくとも約2年前には5%とほんのわずかだったようです。
           
           

DXとデジタイゼーションとの違い

日本語で主に「デジタル化」と訳されるデジタイゼーション(Digitization)や「IT化」といわれるものは、デジタルを利用して業務の効率化や合理化を図ることであり、前述のようにビジネスモデルの変革および企業・組織として競争力をつけるところを目的とするDXはそのさらに先を目指すものです。ITツールの導入や応用はさまざまな企業が試行錯誤しながら進めている状況ですが、その先を見据えたDXというハードルの高さが95%という数値に表れているともいえそうです。
 
 
   

経済産業省が研究会を設置


前述の通り日本のDXの指針となっている経済産業省のガイドラインですが、同年(2018年)の5月に設置された「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」と、そこで審議された内容をもとに出された報告書「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(以下、DXレポート)」がベースとなっています。
           

経済産業省がDX実現に注力

DXレポートには、DXを推進するにあたり、現状日本の企業が抱えているさまざまな問題が報告されています。そこでは主に、すでに導入されているITシステムの老朽化や、システムが散発的に導入されたり体系的に引継ぎがされていなかったりといったことによる複雑化・ブラックボックス化などの問題が指摘されています。
経済産業省が旗を揚げてDX推進を進める背景には、これらの問題への危機感が見て取れます。
           
           

2025年の壁

上述の問題がどれほど深刻かという点について、経済産業省は具体的な数値で未来予想を示しています。もしこれらの問題を解消できなかった場合、2025年以降、日本経済には年間最大12兆円の損失が生まれる可能性があるというものです。日本の多くの企業が抱えるDXの問題は「なにも進められていない」といったゼロベースの状況というより、既存のITシステムが抱える問題をまずは整理・解消していくことから進めなくてはいけなく、またそれが実現できなかった場合のインパクトは国の財政をも揺るがすものであることが分かります。
 
          
           

DXのメリット


国家レベルでも企業レベルでも喫緊の課題であるDXですが、必要な投資を行い早急に推進していくためには、やはりどのような効果があるのかを明確にすることが欠かせません。定義と同様、自明の理であるようで曖昧になりがちなDXのメリットについても、改めて見ていきましょう。
 
           

業務の効率が上がる

一番分かりやすいメリットは業務効率の改善です。DX化に向けた一番フロントの成果物ともいえますが、ITシステムやツールの導入により人件費など投資するリソースを削減できることは、DX推進における必要不可欠な要素であり、最終的な目的である競争性を高めることにつながる大きなメリットです。
 

事業継続計画につながる

コロナ禍においてビジネスにダメージを受けた企業が多くある中、同じ業界でも比較的ダメージが少ない、もしくはその状況においても売上・利益を伸ばしている企業が話題になりました。その企業に多く共通していたのが、ネット販売などITシステムを活用し、店舗販売減などの物理的な制約をカバーした点でした。特に災害の多い日本では、インフラにダメージを受けたり人的リソースの制約を受けたりした時など緊急事態において、データやツールが整備され、稼働できる状態にあるかどうかが企業の命運を左右するケースが確認されています。
           

顧客の消費行動が変化する

DXのベースは、自社の置かれている状況や顧客が本当に求めていることを明確にし、それに即したシステムやツールを活用したり提供したりすることにあります。デジタル化により顧客の得られる体験や消費行動は変化していき、さらにそれを的確にとらえて最適化していくことをDXは可能にします。
 
           

DXの具体的な活用例


まだ多くの企業が活路を見いだせていないのが現状のDXですが、その中でも積極的に推進し一定の効果が見えてきている企業もあります。ここでは異なる業界で実際に顧客サービス・体験の向上にまで結びついた3例をご紹介します。
 
           

金融業界「テキスト含意認識技術」

テキストに含まれる意味を認識し分析する技術を活用した三井住友銀行のケースです。1日に約200件、年間35,000件近くにのぼる全国の営業店や窓口に寄せられる「お客さまの声」を自動で分析し、的確に要約・分類することで、それまで1件1件に目を通していた膨大な人的作業と時間を効率化しました。さらに、一定期間内にどのような「声」がどれだけ寄せられているのか、それがどう変化しているのかなどの分析を体系的に行うことでより深いニーズの把握へと繋がり、顧客サービスの改善へと結びつきました。
           

百貨店「商品データベース管理」

三越伊勢丹ホールディングスは、百貨店の店舗に抱える膨大な数の商品の多くをECでも購入できるように整備しました。オンラインで購入できるようにするだけでなく、予約制での1対1のビデオ接客機能も
備え、もともと百貨店の強みであった顧客体験をオンラインであっても損なわないよう注力し、コロナ禍で落ち込んでしまった売り上げの巻き返しを図っています。
           

製薬業界「服薬支援システム」

大塚製薬が取り組んだのは、ITを使って「薬の飲み忘れ」を防ぐ試みです。飲み忘れが多いといわれる脳梗塞の薬を対象に、その錠剤を入れる専用のケースにLED搭載のモジュールをつけ、薬を飲むタイミングを点滅で知らせるというものです。さらに、服薬情報を患者さんのスマートフォンのアプリに通知したり、家族に知らせたり、担当の薬剤師と共有したりといったデータのやり取りも可能にすることで、連携しながら飲み忘れを防止していくことができるようになりました。その先には、このシステムによって収集された生活行動などのデータにより得られるさまざまな知見を活用し、新しい医療サービスなどの価値を生み出すことも見据えています。
 
           
           

企業ではすでにDXが進んでいる


DXを実現するためのIT・システム化の領域は幅広く、さらにその領域は技術の進歩とともに広がっています。ここでは、すでに比較的多くの企業が取り入れている代表的な事例を5つご紹介します。
           

勤怠管理

社員の出社・退社などの勤務状況をITによりリアルタイムに把握し、総残業時間や休暇取得状況などを可視化できます。さらにその情報をもとに長時間労働への対策や複雑な給料計算の自動化も行うことができ、特に人事・総務の分野において計算などの人的ミスの削減とともに業務効率の向上を図ることができます。
           

生産管理

製造業において需要予測を正確に行いそれに基づく生産を行うことは、ビジネスの非常に重要な部分にあたります。在庫管理や供給調整、製造、販売といった一連のサプライチェーンの情報をITで一元管理することで、幅広い全体の流れを総合的に把握し、常に最適化を図ることが可能になり、販売機会ロスや在庫超過などの問題を最小限に抑えることができます。
           

顧客管理

顧客の名前・部署名・役職などの所属情報から、購買履歴やその他要望などのセールスに関わる重要な詳細情報にいたるまでを一元的に管理し、その情報に基づき効果的なマーケティング活動に繋げるなどの施策までをワンストップで行うことにより、大切な顧客との関係を維持したり新たな売り上げ拡大へと結びつけることができます。
           

データ共有

クラウドサービスの登場により、システムの構築やインストール作業などの業務を最小限に抑えながら、さまざまな情報をリアルタイムで共有できるようになりました。在宅勤務などで会社のシステムが使えないような場合でも、インターネット環境さえあればチーム間でのコミュニケーションやファイルなどのやり取りが容易に行えるようになり、働き方も大きく変わりました。
           

音声サービス 

自社サービス・製品に音声機能を追加したり、新製品のPR動画にナレーションを追加したりなど、音声を追加したいというニーズがあっても、高品質なナレーションを付けるには高額な投資がかかるのが従来でした。しかしAI・音声合成技術の発達により、都度ナレーターやスタジオを手配することなく、人間の声に非常に近い自然なテキストの読み上げ音声をつくることができるようになり、音声活用の幅が一気に広がりました。
           

 
DXの活用例や応用できる分野は非常に幅広く、そのアウトプットも業界や企業などによってさまざまです。ただその目指すところは業務効率や生産性の改善などにとどまらず、競合に対して優位に立つほどのビジネスモデルの変革であり、経営戦略と密接に絡んできます。ツールとしてのITの進歩はこれからさらに加速度的に進む中、日本の企業が2025年問題をどのように乗り越え、テクノロジーを活用していくかが注目されます。
ブログ一覧へ戻る

お気軽にお問い合わせください